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  国際部その2

1.アメリカに留学して言語聴覚士の資格をとることは可能か
 (日本言語聴覚士協会ニュース 通算第7号 2001.6.1.発行 「質問箱」に掲載分)

 「アメリカに留学してSTの資格を取りたいのだけれど」といった相談が舞い込むことが時々あります。実状はどうなっているのでしょうか? 国際部部員の有馬温泉病院言語聴覚士でSLPの濱村真理さんにうかがいました。

  海外のST養成課程で勉強し、帰国後に日本の言語聴覚士の試験を受けることは可能ですか?

 言語聴覚士法第三十三条六(「外国の第二条に規定する業務に関する学校若しくは養成所を卒業し、又は外国で言語聴覚士に係る厚生大臣の免許に相当する免許を受けた者で、厚生大臣が前各号に掲げる者と同等以上の知識及び技能を有すると認定したもの」)には、その可能性が書かれていますが、国内の養成校で学ぶ道に比べ、実習や国家試験受験資格の認定などで難しい点があります。筆者の限られた経験に基づくものですが、順にご質問にお答えいたします。

  先頃、言語聴覚士を目指す大学生の投書が新聞に載り、「アメリカは日本より養成校が多く授業料も安い」とありましたが?

 コミュニケーション障害学科は州ごとに2〜3以上の大学に設置されています。授業料は年間80万〜250万円以上と、大学によって大きな差があり、費用の面でとりわけ国内より安く学べる、ということはありません。学部の定員は比較的多くても修士課程への進学は絞られ、数十倍の競争率のところもあります。また、アメリカでは、American Speech-Language-Hearing Association(ASHA)が言語聴覚士にあたるspeech-language pathologist(SLP)の資格を認定します。それには、
(1)ASHAの認定校で規定の単位を取り、実習時間(学内実習に加え学外施設でのインターンシップ)を満たす、
(2)修士号を取得する、
(3)筆記試験に合格する、
(4)就職先を得て9ヵ月以上のフルタイム勤務(フェローシップ)をすることなどが必要です。

  アメリカでの実習はどのようなものですか?

 修士課程では、大学併設のクリニックで実習指導専門の監督者の助言を得ながら、プロとして評価・訓練を立案・施行します。そのためにはもちろん現地の人に匹敵する語学力や社会文化的な背景についての知識が必要です。学外施設では、さらに高い技能が要求されます。

  アメリカで学科を勉強して日本で実習をすることはできますか?

 英語が不十分なために、日本で実習をしてくるようにと助言されたという留学生からの相談が協会に寄せられました。ASHAの実習規定では、成人・小児の言語・発話・聴覚のすべての領域にわたる評価・治療の実習時間を満たすことが必要です。しかし、日本でASHAのスーパーバイザーの資格を持っているSTはきわめて少なく、多岐にわたる症例についての臨床実習は不可能です。卒後のフェローシップも、同様に実現は困難です。

  海外で取った資格は、日本でも通用しますか?

 現在のところ、海外で取った資格がそのまま日本で通用するわけではありません。日本の国家試験を受けることが必要です。国家試験の受験資格を得るためには、厚生労働省に申請して、個別に審査してもらうことが必要です。認定基準は公表されていませんので、事前に「この国の資格を取れば(養成過程を卒業すれば)、認定されますか」と質問しても、「帰国後審査を受けるように」と言われます。また、この審査を受けるには、厚生労働省の要請に応じて、授業内容はもちろんのこと研修施設の面積にいたるまで情報を集め、翻訳し、公証人を通して提出することが必要です。筆者が提出した資料は5?の厚さになり、厚生省(初年度当時)との折衝は10ヵ月以上にわたりました。これには相当消耗しました。
 米国の教育にはすばらしい点が数々ありますが、ことばの壁を乗り越える必要があり、資格の互換性も今のところはありませんので、「費用がかからず、入学しやすい」といった印象論は誤解を招きそうです。カナダやオーストラリアの制度も米国に準じるようです。
 その方のお考えによるでしょうが、以上のような現状を把握したうえで、判断してはいかがでしょうか。

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2.海外諸国の養成課程について
(Ruth Lesser, The Making of Logopedists: An International Survey, Folia Phoniatrica et Logopaedica 1992; 44:105-125 表1・表2より抜粋)

 

国・地域名 養成開始年 養成課程の種類 終了時の資格  養成年限
アルゼンチン 1943 Bac 3年
オーストラリア 1962 Bac 4
オーストリア 1969 Dip 2
ベルギー  1964 Dip 3
ブルガリア 1962 5 p.t
カナダ 1956 Mas 2
中国         1985 Dip 2
コロンビア 3/4
チェコスロバキア 1990 Dip 4
デンマーク 1926 Dip/mas 5
エジプト    1974 Cer 1.5
フィンランド  1947 Bac/mas 5.5
フランス    1964 Cer 4
ドイツ 1980 Dip 3
ギリシア Bac 4
香港 1988 Bac 4
ハンガリー 1900 4
インド  1966 Bac 3
インドネシア  3
イラン   1974 Bac 4
アイルランド 1969 Bac 4
イスラエル 1967 Bac 3
イタリア 1969 Dip 3
ヨルダン Mas 2.5
マルタ 1978 Bac 4
メキシコ 1950 Bac 4
オランダ 1930 Dip 4
ニュージーランド  1942 Bac 4
ノルウェー  1976 Dip 1.5
ペルー Bac 5
ポーランド  1973 Mas 2
ポルトガル  1962 Cer 3
サウジアラビア Bac 4
南アフリカ 1936 Bac 4
スペイン         1983 Dip 3
スウェーデン 1964 Bac/mas 4
スイス 1939 Dip 3.5
イギリス     1944 Bac 4
アメリカ     1937 Mas 2
旧ソ連    1918 Mas 5
旧ユーゴスラビア 1982 Bac 4
ジンバブエ Cer 2
国・地域名 養成開始年 養成課程の種類 終了時資格 養成年限


(注)

国・地域名: 英語名のアルファベット順
養成開始年: 何らかの形で養成プログラムが1校でもスタートした年
養成課程の種類: 養成プログラムのタイプが複数あるか 
終了時資格: bac=学士号 
mas=修士号 
cer=大学以外の養成修了  
dip= cerより高いレベルだが大学での養成である必要はない 
bac/mas=学士レベルだが「マスター」と呼ばれる。 
これらの資格は養成の種類が複数ある場合、最も頻度の高いもの。
養成年限: 最も頻度の高い値 p.t.=パートタイム

 

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3.英語圏の職能団体連絡先

 最新の養成課程や留学生の受け入れ等に関する詳細情報は、各団体のホームページを参照するか直接問い合わせて下さい。また、下記以外の国の団体については国際音声言語医学会(IALP: International Association of Logopaedics and Phoniatrics)のホームページを参照して下さい。

国名

団体名

住所

アメリカ American 
Speech-Language-Hearing 
Association (ASHA)
10801 Rockville Pike, Rockville MD 20852-3279 USA 
イギリス The Royal College of Speech 
& Language Therapists 
United Kingdom
(RCSLT)
2 Whitehart Yard, London SE1 1NX United Kingdom
オーストラリア Speech Pathology Australia 11-19 Bank Place, 2nd Floor, Melbourne, VIC, Australia
カナダ Canadian Association of Speech-Language 
Pathologists and Audiologists
(CASLPA)
c/o 130 Albert-St. Suite 2006 Ottawa Ontario K1P 5G4 CANADA
ニュージーランド New Zealand 
Speech Language Therapists Association
Suite 369, 63 Remuera Road, Newmarket, Auckland, New Zealand